報告 2014年11月13日更新

時空マップを作成しました


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この地図は、大橋周辺の藩政期から昭和までの7つ地図を同じ縮尺に合わせ、それぞれ単色コピーして部分的に切り取り、上から年代が古い順になるように重ね合わせたものです。色の重なりが多い箇所ほど、"時が経つにつれ変様してきた場所"ということになります。片平地区においては、主に広瀬川の流路にその特徴が顕著にあらわれています。

※それぞれの地図画像はクリックすると、大きなサイズでご覧いただけます。

※すべての地図画像の掲載・転載を禁止します。ご入り用の方は各所蔵先へお問合せください。

重ね合わせるもとになった地図を年代の古い順に紹介します。

今回、使用した地図はいずれも、現代の測量的知見だけでは読み取れない表現が多く、名称、文字の向き、色彩、地形描写などが多彩でした。

壱.1664年(寛文4)仙台城下絵図 所蔵:宮城県図書館

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・「御本丸」と瑞鳳殿と並んで建物が描かれているのが「御花壇」です。地域でも花壇屋敷があったと言われており、それだけ重要な場所だったのかもしれません。

・大橋から大町へと河岸段丘の段差を登る坂道は、当時クランクして上っていたようです。

弐.1751-1772年(宝暦・明和年間)仙台城下絵図 所蔵:斎藤報恩会

1751-1772宝暦・明和年間_仙台城下絵図_斎藤報恩会.jpg

・「片倉小十郎」の屋敷が大橋のすぐそばにあります。その脇に広瀬川へ下る赤い道が描かれていますが、これは今でも残っています。

・寛文の地図と見比べると広瀬川にいくつか中州ができていて、「評定所」の側には人が住んでいた中州があったようです。

参.1912年(大正元)仙臺市全圖 所蔵:風の時編集部

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・「大橋」がしっかりとした表現になっていて「長 六十二間五尺(約114.24m), 巾 四間(約7.27m)」と書かれていて鉄製トラス構造になったことがわかります。下流の方には「旧花壇橋址」と書かれています。

・「廣瀬川」が楽器の琵琶のように大きく蛇行していましたが、「追廻陸軍射撃場」ができたため蛇行が小さくなっています。

・広瀬川の中州「評定河原」には「早川農場」と「早川牧場」があったのがわかります。

四.1936年(昭和11)仙臺市地圖中央部 所蔵:塔文社

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・「廣瀬川」の中州が河原と一体化して「帝大グランド」と「市立動物園」ができています。

・「射的場」から経ヶ峰を登る道が描かれていて、建物がいくつか配置されています。

・赤いラインは市電です。停留所「片平丁」から坂を下って動物園に行く人が多かったと聞きます。

伍.1949年(昭和24)JTB仙台市街圖 所蔵:JTBパブリッシング 提供:20世紀アーカイブ仙台

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・「大橋」の表現が簡素な表現になっています。この表現だけではわかりませんが、地図発行の9年前に現在のコンクリート構造になっています。

・追廻練兵場だった場所が戦後に引き揚げてきた人たちの「追廻住宅」になっています。

・大橋から大町へと段丘を上がる道が「大坂」、花壇から片平丁へは「藤ヶ坂」と名付けられています。

六.1958年(昭和33)仙台市都市計画図 発行;仙台市

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※当時の道路計画や施設計画など加筆があります。

・龍ノ口沢から広瀬川への流れが変わっています。沢の脇にある「水門」は、現存する元仙台愛宕下水力発電所導水トンネルの入口のことかもしれません。

・評定河原に「公団住宅」や「車教習所」ができています。

七.1964年(昭和39)仙台市都市計画図 発行:仙台市

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・西公園の広瀬川沿いは「仲町」という住宅だったのですが、「仙台市営プール」に変わっています。

・「東丸」「三ノ丸」「三ノ丸陸軍倉庫」「青葉山公園」と時代によって表記が変わっていった場所に「仙台博物館」ができています。

・この時代にもまだ市電は走っていて、「追廻住宅」には住宅がビッシリ建ち並んでいます。

零.ベースとして使用した地図

2006年(平成18)仙台市都市計画図 発行:仙台市

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・広瀬川右岸には「追廻住宅」に建ち並んでいた住宅が半数以上減り、「博物館」「国際センター」が新しくできています。

・これまで「青葉城跡」には「天守台」と記載されていましたが、表記がなくなっています。

・地下鉄東西線のルートが滑らかな曲線で表され、平成25年度に廃止となった都市計画道路の道路建設ルートも線が引かれています。

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※地図づくりにおいては、『片平地区平成風土記』(片平地区平成風土記作成委員会編集、2009年)・地域住民らが仙台市の協力を得て策定した「片平地区まちづくり計画」をベースに、現地調査・地域住民への取材・上映座談会を行って得られた知見や、関連活動として参加した「緑の学校」(東北工業大学)、広瀬川ガイドボランティア(片平市民センター)、片平地区「遊びと、環境幾何学構成アート」(Art Géo Construi 幾何学構成アート 実行委員会)を通じて得られた知見をもとに編集しました。

※この時空マップをトレースデザインしたものを、せんだいメディアテーク館内に配架している「対話の可能性 スタジオ協働プロジェクト2014」内で掲載しています。


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