展示 2014年03月31日更新

【レポート】ラウンジ展「民話 声の図書室 ー民話の深い森に分け入ってー」【後編】


 ----「民話 声の図書室」は、みやぎ民話の会が40年にわたって記録してきた、宮城県を中心とする民話語りの映像・音声を、せんだいメディアテークと協働し、だれもが活かせる共有財産として、未来へ受け渡していこうとする活動です。本展覧会は、民話の深い森にまず分け入っていくこと、民話の語り手を尋ね訪ねてあちこちの土地土地に足を運び一人ひとりの話に耳を傾けること、「採訪」と呼ばれる活動の姿に光を当て、これまでの会の活動記録を通してご紹介します。

 後半の【5月24日~6月30日】の期間では、前半の展示に加えて、1985年から三カ年かけて会が行った「宮城県民話伝承調査」で採訪し記録した民話、2011年3月11日の大津波によって大きな被害をこうむった県内沿岸集落に生きていた話たちのいくつかを、呼び起こしてみなさんに手渡したいと思いました。

小さな小さな話たちですが、目をとめていただければと願っています。

この話たちも、足で人を訪ねて耳で話を聞きとってきた、これまでの会の活動によって記録されたものなのです。----

(展覧会紹介文より)

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▲ 展示風景。会場奥(窓際)には、『2011.3.11大津波に襲われた沿岸集落で、かつて聞き書きした《いいつたえ、むかしばなし、はなし》』が展示された。

表紙.jpg 第1話_江島のキノコ.jpg 第2話_大ダコの宮.jpg  第3話_天女の塚.jpg 第4話_姫こ岩.jpg 第5話_ヘビの女房二話.jpg  第6話_キツネのお産.jpg 第7話_馬をあやつるキツネ.jpg 第8話_孫娘に化けたタヌキ.jpg

▲ 2011.3.11大津波に襲われた沿岸集落で、かつて聞き書きした《いいつたえ、むかしばなし、はなし》(記録:小野和子)。今回の展覧会では、本吉郡南三陸町戸倉の浜の民話を8話ご紹介いたしました。(クリックで拡大)

---- 宮城県教育委員会の委託を受けて「宮城県民話伝承調査」をおこなったのは、1985年から1988年の3カ年でした。いまから、25年あまり前のことになります。その時に、民話を語ってくださった方は388人、聞き書きした宮城県各地の民話は2513話におよびました。
 これらの記録は、『宮城県文化財調査報告書第130集―宮城県の民話』(1988年3月刊/責任編集・小野和子)としてまとめ、宮城県教育委員会から出版されましたが、当時の区割りによる74市町村から、3話乃至5話を選んで活字化するという形でした。したがって、集めた民話の約1割に当たる274話のみの収録となりました。残りの2200話あまりの民話の記録と、語ってくださった話者の声は、わたしたちの手許に置かれたままでした。
 これらの貴重な記録と語られた声は、わたしたちが採訪して集めた他の民話とともに、目下、せんだいメディアテークとの協働により「民話 声の図書室」の大切な財産として、みなさんと共有すべく作業をすすめています。
 ここにご紹介する民話は「民話伝承調査」をおこなった折に記録したものです。
 2011年3月11日、津波に襲われて、被災した集落で、かつて聞いた民話の一部です。
 語った方の大部分は、震災の前にすでに亡くなっています。そしていま、語られた土地の姿は変わり果てました。しかし、手許に残った語りは、ここで生きていた人々の姿を、ありありとわたしたちに伝えてくれます。
 それは、この土地特有の話もあれば、そうでないものもあります。また、実際の体験談もあります。それらすべてを含めて、「この土地で語られていた民話」という括りでまとめてみようと考えました。よその土地からもたらされた話や、隣町での出来事を語るものや、遠くの島のいわれを教える話、また全国的に話型がみられる民話など、これらはさまざまな経路でムラへ持ち込まれ、この地の人々の胸であたためられて、語りつづけられてきた話群です。
 
 「2011.3.11 大津波に襲われた沿岸集落で、かつて聞き書きした《いいつたえ、むかしばなし、はなし》」というテーマを掲げて、これからもシリーズで、みなさんに届けていく計画です。----

民話 声の図書室プロジェクト

【前編】レポートはこちら

展示資料「2011.3.11 大津波に襲われた沿岸集落で、かつて聞き書きした《いいつたえ、むかしばなし、はなし》」(記録:小野和子):ダウンロード(minwapanel_0523.pdf)[1.1MB]

会場:せんだいメディアテーク 7F 南側ラウンジ

お問い合せ:022-713-4483(せんだいメディアテーク)

主催:民話 声の図書室プロジェクトチーム/せんだいメディアテーク


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