報告 2016年04月06日更新

「第4回参加者発表会」レポート


 4月に入り新生活が始まる方も多いかと思いますがみなさまいかがお過ごしでしょうか。みやぎシネマクラドルは今年度も引き続き活動を続けて参りますのでよろしくお願いいたします。

 さて、2016年3月21日(月・祝)に行われた第4回参加者発表会の報告をさせていただきます。今回の発表会では「イメージの地層〜被災地での記録と表現をめぐって〜」と題し、小森はるかさんが『息の跡』を上映してくださいました。

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 震災当時、東京芸術大学の学生として、友人でありアーティストの瀬尾夏美さんとともに被災地を巡った小森さん。東京に戻ってから、自分たちがそこで感じたことと周りの被災地に対するイメージがかけ離れていることに違和感を覚えたお二人は、自分たちが伝えるべきことをしっかり見つめるためにも、被災地に腰を据え、記録と表現について向き合う決心をしたそうです。

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▲発表者の小森はるかさん

 そうして陸前高田に住んで、土地の方々との交流を深めながら次第に分かってきたことは、被災した風景の中に、かつての生活の痕跡が残っていて、被災後の生活の中にもそれらの記憶や時間の流れが息づいているということ。そして小森さん・瀬尾さんの身近なところには、震災という出来事を含め、こうした痕跡や記憶を自らの手でどうにかして伝え残そうとしている人がたくさんいたそうです。

 これこそが「表現」の根源なのではないかとの結論に思い至る小森さん。一方で、「復興」という名のかさ上げ工事の元、急速に形を変えていく陸前高田の町の風景を見て、こうした人たちの存在も、確かにあったはずの痕跡や記憶それ自体も、やがて土に埋もれて見えなくなってしまうのではないかということに危機感を覚えた小森さん・瀬尾さんは、その過程での人びとの心象をしっかり記録し、作品にすることを迫られます。

 こうして生まれたのが小森はるか+瀬尾夏美共同監督作品である『波のした、土のうえ』と、今回上映させていただいた小森はるか単独作品である『息の跡』です。前者についてはすでに全国各地で展示と合わせて上映会を行い関係者から注目を集めており、後者についてはまだこれから広めるところなのですが、小森さん独自の視点で陸前高田の人と空気を感じることができる素晴らしい作品です。

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▲フリートークの様子

 上映後のフリートークでも、「今の小森さんと主役の方との関係だからこそ撮れた映画である」といった感想が出され、派手ではないかもしれないけど、一つのことをしっかり自分の体で受け止めようとする小森さんの姿勢に来場者が共感したようでした。これから全国で上映される機会も増えていくかと思いますので、みなさま、どうかご注目ください。

 というわけで、また次回を楽しみにお待ちください!(我妻)


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