メディアテーク運営協議会報告書
おわりに

運営協議会について

今回のメディアテーク運営協議会は、館長の諮問機関として指定管理者が設置したものであった。しかし、施設としてのミッションは設置者たる仙台市が所掌する事項であるため、指定管理者である館長の権限は組織統括者としての範囲に留まらざるを得なかった。結果的に外部委員から構成される運営協議会は難しい立場での議論を余儀なくされたのである。

より良い運営にあたって必要な合意形成(事業の選定、資料や発信情報の選定、施設利用の優先順位等)のためには、設置者・指定管理者。利用者といった多様なステークホルダーステークホルダーメディアテークが活動を行う上で関わるあらゆる利害関係者。の参画が不可欠である。協議会が、その位置づけに関する議論と並行して、現場スタッフを交えたワークショップを主催しながら、その成果を報告書に反映させていったのもそのあらわれの一つである。しかしその一方で、議論の参加者が増えるほど、合意が優先され、メディアテークが本来的に期待されている役割とは遠のいてしまう危険性もある。先進性を維持していくためには、設置者である市の思い切った政策判断とリーダーシップの発揮が望まれるところである。

公共圏創出のプラットフォーム:なんのためにメディアテークはあるのか

メディアテークは、サービスをただ提供するという従来の公共施設の在り方から一歩踏み込んで、私たちがお互いに違いを理解しあい、それを新しい関係に発展させられるような環境づくりに貢献する場所として、すなわち、社会学で言うところの「公共圏」を創出する工場として生み出されたものでもある。新しい時代に合わせたコミュニケーションのチャンネルを創出しようメディアテークが格闘し続けているのは、そのためでもあるのだが、そうした試みは各個人が深いところに受け入れて始めて発現するようなものでもあり、その効果を直接的に掲げることは極めて困難でもある。

しかしながら、メディアテークのまわりで起った様々な会話や関係が、個人の経験から集団・地域の共有の経験へとつながり、周辺のエリアや仙台の空気をすこしずつ変えていったというこれまで5年間の変化こそ、前述の成果が上がっているという証拠に他ならないのではないだろうか。

本報告書でここまで述べた戦略の構築を通じて、市民がメディアテークの可能性をより身近に、より具体的に実感出来るような状況を一刻も早く作り出さなければいけない。

ページの先頭へ

せんだいメディアテーク
sendai mediatheque
http://www.smt.jp/
office@smt.city.sendai.jp