提言

1 「せんだいメディアテーク」準備室の早期開設

プロジェクト検討委員会は本答申をもってその任務を終了する。そこで答申内容を実行、また引き続き検討するための組織、「せんだいメディアテーク開設準備室」の早期開設を提言する。
「せんだいメディアテーク開設準備室」は、館が開館するまでの準備活動を実行する組織である。その内容は事業計画の詳細や運営組織の検討、プレ・イベントの開催を通じた利用形態の検討、また情報設備システムの検討などを行う実際的なものである。
準備室は行政機構のひとつとして設け、将来的には施設運営組織に発展していくものと考えるが、その構成は固定的なものではない。しかし、自らの活動を企画し、運営し、必要に応じて組織も可変的に運営するというその基本方針は、館の運営組織に継承されなくてはならない。
施設の性格を鑑みて、館長が早急に任命され、準備室の全体活動をコントロールしていくことを強く要望する。

準備室の構成

  1. 館長
  2. 仙台市担当者(常勤)
  3. 図書館計画及び著作権専門家
  4. ギャラリー及び芸術文化振興の専門家
  5. 情報設備システム及びネットワークの専門家
  6. 地元教育関係者
  7. ワークショップ、ボランティア体制の核となる人材
  8. その他、広報担当者を含む実行スタッフ

2 プロジェクトチームの発足

メディアテークは各種の市民サービスを行なうが、施設全体を「拡散的かつ一体的」に運用し、活動の高度化を図らねばならない。そのために情報設備システム を館内各部門にネットワーク化する必要がある。この情報設備システムを想定される館の運営や活動内容と一体化して構想する。
情報設備システムを利用して行なう活動内容は、書籍検索やブックディテクション、利用者インフォメーション・システムなど、固定的なものだけではない。施 設活動が機器発達と共に高度化することが可能なインフラストラクチャー(基盤設備)を想定しなくてはならない。そのために情報設備システムは建築が竣工し たときに固定される他のインフラとは異なって、開放系のインフラと考える。
このような情報設備システム設計を、情報設備研究者・エンジニアによるプロジェクト・チームを組織し、建築設計担当事務所、準備室と共に、様々な施設利用、活動を想定して実験を行ない計画を進めること。


3 プレ・イベント開催

事業計画、組織・運営など、具体的な活動検討を目的とするプレ・イベントをただちに開催する。期待どおりの結果が得られなければ、その活動は再検討されるべきである。
プレ・イベント段階ですでに多くのカルチュラル・スタディーズ(利用者の調査)を市民レベルにまで拡げるのである。プレ・イベントの内容企画、実施は準備 室だけでなく、市民参加、ボランティア組織などと行う。館の意義を市民に広報し、理解を深めることも目的である。イベントを介して人材の確保、対外協力体 制(コンソーシアム)をつくることも重要である。このようなフィードバックの方法は開館後も継続されるべき姿勢である。以下にプレ・イベントの基本例を示 す。
メディアテークの特性を考え「インターネット」上に「せんだいメディアテークのホームページ」を開設し、「バーチャル・メディアテーク」を実現させる。そ の館内でさまざまな活動を、多方面からの参加を呼びかけ、活動・運営などに反映する。仙台市ホームページ上の「せんだいメディアテーク」のインフォメー ションを充実化することで実行する。この作業自体もプレ・イベントとして位置付け、市民参加、各教育機関などと連携して作業にあたる。
内容面からは「言語、声と文字」、「イメージとその能力」という主題を設定し、それに応じて各分野がその機能を活かしてイベント化する。その他、市民参加 による「図書館選書」、「市報のマルチメディア化」、「メディア技術によるヴィジュアルアートの可能性・ワークショップ」など身近な活動も考えられる。